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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(あ)3753号 決定

本籍

中国奉天省

住居

神戸市葺合区中尾町一五番地 陳恒華方

貿易商

張恵美

大正六年一二月一六日生

右に対する関税法違反、物品税法違反被告事件について、昭和三〇年九月二八日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人岡田善一の上告趣意は、量刑の非難であり、弁護人橋本三郎の上告趣意は、原審で主張、判断のない第一審における単なる訴訟法違反の主張(所論告発書の証拠調については第一審において所論のごとく弁護人が不同意を唱えた形跡が認められないばかりでなく、同告発書は、本件についての訴訟要件としての告発があつた事実を証明する資料であつて、本件事実認定の証拠として提出されたものでないこと記録上明白であるから、仮りに被告人、弁護人から不同意の申立があつたとしても、記録に編綴することは当然であつて、これを違法とすべき理由はない。)であつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても所論につき同四一一条一、二号を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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